狭小住宅での収納計画は、限られた空間を最大限に活用する点に目を向けるのがポイントです。特に感じるのは、立体的な視点。図面だけを見ると平面的な配置に目が行きがちですが、実際には垂直方向の検討も大切です。


立体的な収納の例としては、天井までの高さを活かしたものがあります。
一般的な天井高は2メートル40センチほどあり、上下の空間を使うことで、収納の幅を広げることができます。
ただし、高すぎる位置の収納は手が届かず、物を押し込んだままになりがち……。
そのため、手の届く範囲で効率よく使える収納を造るお客さまが多いのですが、必要なものだけを片付けるようになり、余分なものが溜まらないといったメリットもあります。


また、限られたスペースでも収納力を確保するため、小上がりの下やイスの下、ヌックの下など、デッドスペースを活用した設計が大切です。
壁面収納やニッチも活用し、居住空間を圧迫せずに収納スペースを確保するのが、建築士の腕の見せ所です。


「収納はあればあるほどいい!」というわけではありません。
かつて主流だった床下収納庫は、取り出すのが手間であることから最近ではあまり使われなくなりました。狭小住宅だからといって、どこにでも収納を造るのではなく、自分たちが使いやすい場所に、適度なサイズの収納を造るのが正解なんです。


収納を考える時には、空間を立体的に捉えることが大切ですが、立体的なイメージをつかむのが苦手というお客さまも多いです。私たちは、パースや展開図を活用してわかりやすく説明し、お客さまのイメージを具体化するお手伝いをしています。


限られた空間でも、収納を上手に計画することで快適な暮らしを実現することができます。狭小住宅での家づくりを検討されている方は、ぜひ収納計画にもこだわり、理想の住まいを目指してください。